予定通りそれから一週間後、SOMA邸で集合。
その日はバイクではなく、GOOD WOOD EVENINGで最近メキメキとマイクの腕を上げてきている"KO-DEE"を誘い、車をだしてもらう事になった。
にもかかわらず一時間も遅刻してKO-DEEは現れた。
『来門さん、遅くなってすいません、今家の前です』
『うん、車出してもらってあれだけど遅すぎる、てめー何やってた、
とっとと行くぞ』
『は、、、、はい』
半ば強引に誘った俺も悪いが、彼はバツの悪そうな顔をしていた。
しかし、相模原に向かう車中は、KO-DEEの今製作中の曲を聴いたり、俺がこれから行おうとしている事を語り合って、あっという間にSOMA邸に到着した。
『おっす、、、、あれ?、、、えっと、こちらはどなた?』
SOMA君は初めて会う顔に少し警戒を抱きながらも、愛想良く挨拶をした。
『ほら、コーディー 挨拶して』
『あ、、、、、、、、、はい、あの、、、、KO-DEEです』
『お前、本当にこうボーっとしてる感じだよね、もっと、、こう、、軽快にいけないの?』
『あっ、すいません、、、、、自分、、、、、あの、、タクト君とかにお世話になって、』
『もういいよ』
『はははっ、なんかいい感じだね、はるばるご苦労だったね、こちらこそよろしく』
SOMA君の持つ機材を車に詰め込み、さっそく出発した。
しかし、目的地がどこかも聞かされていない俺達は、SOMA君のナビで車を動かした、
『そこ右、、、、そんですぐ左ね、、、、、、ああここ、、、、、、はいここです』
しかし、車を走らせれば走らせるほど田んぼ道へ、最後には何も無くなってしまった。
『はいここですって、、、、、、何処ココ?』
戸惑いを隠せない俺達にSOMA君は言う、
『でしょ、最初はびっくりするよなここ、、、、、、、、でもココを曲がると、、、、、、、、、、あるんだな』
『あっ!!』
確かにあった、周りには田んぼ以外電灯も何も無いが、そこに突如現れた工場、その工場を改造してスタジオは存在した、
『ワーオ、あるもんだねえ、すごいじゃん』
車から降りて、機材を降ろしているところに、そのスタジオ主が登場した。
『ドーモよろしく、よくきたね、ミサキちゃんです』
軽く挨拶を交わし、俺達は早速スタジオを拝見する事にした、
入り口に入って、まず驚いたのが、いきなり改造のアメ車(車種はわからない)がドンと置かれていた。
『うわっ!!なんすか、これ、ミサキ君がいじったんすか?』
ペイントを全部はがしたシルバーのボディーに、黒い炎のエンブレムが描かれている、これが夜中暗闇の中で一台で走っていると、まるでゴーストライダーに出くわした様な、かっこよさと妖艶さを備えた車だ、
『そうなんだよ、いろいろいじるのが好きでさ、だから全部中途半端になっちゃうんだけど』
と、彼ははにかみながら笑った、
『ミサキちゃんは始めから最後まで自分でやらないと気がすまない人でさ、趣味でいろいろ機材を集めて直したり自分で作っちゃうんだよ』
横から機材を運びこむSOMA君が言う、そもそもそこの工場も自分で改造してスタジオを作ってしまったそうだ、
『すげーな、コーディー』
『、、、、、、、、、、、、はい』
『、、、、、、それだけかよ、、、、、、たのしくねーな』
そして、一同はその奥へ、そこには立派なスタジオが俺達を待っていた。
ギターからベース、超大きいレコーディング机、そしてマイクと、何から何までrecに必要な機材が揃っていた。
『なんでもあるんですね、、、、、、こんだけのスタジオ手掛けるのに、どれだけの費用がかかるんですか?』
最近、めっきり貧乏癖がついている俺は、野暮な質問をしてしまった、
『う~ん、どうだったかな、、、、、、自分がやりたい事だからね、、、、、、、、、
安いもんばっかだし金の事は忘れちゃったな』
その答えには、大人としての気品と、夢を追いかける彼の熱い姿勢が込められている様な気がして、自分はそれを聞いた事に少し羞恥心を持った。
『、、、、、、、、、そうですよね』
『来門、セッティングすんのにちょい時間かかるから、ちっょとうろうろしてて』
そういうと、SOMA君とミサキ君は急がしそうに機材周りで作業を始めた。
『よし、コーディー、俺がベース弾くからセッションしよう』
『はい』
スタジオに備わっていた、フェンダー ミュージックマンを手に取り、スラップベースを弾く、それにあわ合わせてKO-DEEもフリースタイルで、軽快に歌う。
俺は散々KO-DEEをいじっているが、そのフローはなかなかのもので、GOOD WOOD
クルー、あるいは俺の周りの人間もその彼の成長も期待しているのだ。
しかし、10分もすると、それにもあきてしまい、スタジオ内を探索する事に、、、、、、
この間も話したが、俺は機材にかんしててんでうとい、なのでそこで一番きになったのが、YAMAHAのシンセサイザーの上に置かれている、80年代のロボットアニメ "ダンバイン" の主役機 "ビルバイン" の玩具であった、それを手にとってマジマジと見る僕にミサキ君が話しかける。
『おっ!!そうゆうの好きなの?』
『はい、これ、いいっすね。しかも、最近超合金のリニューアル化が進む中、これは当時のオリジナルシェイプですよね、、、、、ビルバイン、、、、、かっこいい。あの主題歌も最高なんすよ、♪オ〜〜ラロ〜〜ドがひらか〜〜〜れた〜〜♪って、俺、ザンボット3の超合金ゲットしちゃって、当時のアニメは玩具化を考えれたものが多かったんだけど、ザンボット3はその変形が難しくて、結局玩具化されなかったんだど、それが最近になってやっと、、、、、』
超合金魂に火がついてしまった俺は長々と話し続けた。
その間ミサキ君はだまって話を聞いてくれていたが、俺の話しが終わると、彼は口を開いた、
『あっ、、、、ごめんね、、、なんか、そこまで話してくれてあれだけど、これもらいもんで俺全然わかんないんだよね』
『、、、、、、、はい、、、、、、ですよね』
ミサキ君との会話は終わってしまった。
その瞬間、クスクスと笑うコーディーをまたやじった。
『よしっ!そろそろいけるぞ来門、喉温まってる?』
SOMA君のGOサインがかかった、
『まかしてよ、15分で終わらせるよ』
『はやっ!たのむよー』
マイクブースにて、ヘッドフォンをつける。
軽くマイクチェックを済まると、SOMA君がリニューアルしたトラックがかかる。それは、サンプリングが得意とする彼が、キューバ島のオーケストラを取り入れた壮大なものに生まれかわっていた、そしてこれがオリジナル SOMA DRUM n JUNGLE BEAT
、、、、、、、、、、まさに復讐劇を描くために作られたトラックだ。
ミサキ君も機材周りをチェックしつつ、コーディーもレコーディング状況を見守った。
『よし、、、、いくぞ』、覚悟が鳴る。
まさに、歌いだそうとした時、ふと何かの視線に気づいた、
目を上げると、そこにはまるで見守るように、聖母マリア像がおかれていた。
『、、、、、マリア様、、今あるすべてを込めて歌います、、、、、、』
心の中で静かに祈り
SOMA君の合図と共、レコーディングは開始された、、、、、
次回続く、
来門頑張ってるんだね~!!
返信削除私も頑張ろうって思った。
応援してるね(^^)